平成28年度から令和7年度までの出題傾向と比較し、令和8年度の地学分野で初めて、あるいはより詳細に導入された内容は以下の通りです。
1. アネロイド気圧計の内部構造(「空ごう」)
これまでの試験でも気圧の測定や天気図の読み取りは頻出でしたが、令和8年度ではアネロイド気圧計の内部にある「空ごう」(金属製の容器)という具体的な構造に焦点が当てられました。
• 「空ごう」の厚みの変化: 周囲の気圧の変化に応じて「空ごう」がふくらんだり縮んだりして厚みを変化させる仕組みが詳しく問われています。
• 標高と厚みの関係: 山のふもと(気圧が高い)と山頂(気圧が低い)を比較した際、密閉されたお菓子の袋の膨らみと同様に、「空ごう」の厚みが増加するという現象を考察させる問題が出題されました。
2. 大気圧による力の具体的な算出
大気圧という用語や単位(Pa)は過去にも登場していましたが、令和8年度ではそれを用いて具体的な力(N)を計算させる問題が登場しました。
• 計算の対象: 「20cm四方のゴム板の上面にかかる大気圧による力の大きさ」を、100,000 Paという数値から計算する形式です。これは、圧力の定義()を実生活の道具(吸盤のようなゴム板)に適用して考える応用力が求められています。
3. 大型注射器を用いた気圧と温度変化の実験
雲のでき方に関する実験として、これまでは簡易真空容器などが使われる例がありましたが、令和8年度では大型注射器、丸底フラスコ、デジタル温度計を組み合わせた装置が示されました。
• 現象の特定: ピストンを引くことで内部の気圧が下がり、温度が「露点」に達して白くくもるというプロセスを、実験データ(18.0℃から17.3℃への変化など)に基づいて正確に答える必要があります。
4. 銀河系(天の川銀河)の名称記述
恒星の集団についての問いは平成29年度にも見られましたが、令和8年度ではうずをまいた円盤状の形をした模式図(図4)を用い、太陽系を含むその集団の名称を「銀河系(天の川銀河)」と直接記述させる形で出題されました。
これらの内容は、従来の「知識の確認」から一歩踏み込み、計測機器の仕組みや、物理的な計算を地学的な現象に結びつける思考力をより重視する傾向を示しています。