平成28年から令和7年までの傾向と比較し、令和8年度の物理分野で初めて、あるいは特徴的な切り口で出題された内容は以下の通りです。
• 音の伝わり方と耳の構造の関連付け: 音の性質に関する大問の導入として、耳の中で空気の振動を捉える部分である「鼓膜」の名称を答える問題が出題されました。過去の物理分野では波形や計算、モノコードを用いた実験が中心であり、音の受容器という生物的な構造と物理現象を結びつけた問いは令和8年度の特徴です。
• 2台のメトロノームを用いた音速の測定実験: 2台の電子メトロノーム(1分間に240回に設定)を使用し、音源から遠ざかることで音がずれて聞こえる現象を利用して、空気中を伝わる音の速さを算出させる具体的な実験問題が登場しました。過去には水中と空気中の音速の差を利用した計算問題(令和2年)などはありましたが、メトロノームを用いたこの形式の測定・考察問題は新傾向と言えます。
• 実物の装置図に基づいた回路図の選択: 電源装置、電熱線、電圧計、電流計が実際に配線されているイラスト(装置図)を読み取り、その接続関係を正しく表した回路図を選択させる形式の問題が出題されました。過去には回路図を完成させる作図問題などはありましたが、複雑に配線された実物図と回路図を正確に対比させる能力が改めて問われています。
• クレーンを用いた仕事率の具体的な計算: 小問集合において、クレーンが質量50kgの物体を10mの高さまで50秒かけて持ち上げた際の仕事率(W)を求める計算問題が出題されました。仕事率の計算自体は過去(平成30年など)にも見られますが、クレーンという具体的な重機を題材とした設定で登場しています