平成28年から令和7年までの出題傾向と比較し、令和8年度の生物分野で初めて、あるいはより詳細な切り口で出題された内容は以下の通りです。
1. 遺伝子の本体としての「DNA(デオキシリボ核酸)」の名称
これまでの試験でも遺伝や染色体に関する問題は頻出でしたが、令和8年度では体細胞分裂の様子を示した模式図に関連して、染色体に含まれる遺伝子の本体である物質名を「デオキシリボ核酸(DNA)」と明答させる問題が出題されました。
• 特徴: 従来の「遺伝子」や「染色体」という用語から一歩踏み込み、その化学的な本体を問う知識が求められています。
2. 気孔を形成する「孔辺細胞」の名称特定
植物の葉の表皮の観察において、これまでは「気孔」という用語やそのはたらきを問うものが中心でしたが、令和8年度では気孔を形作っている2つの三日月形の細胞そのものの名称、「孔辺細胞」を答えさせる問題が登場しました。
• 観察の視点: 顕微鏡でのスケッチに基づき、細胞一つひとつの名称を正確に識別する力が問われています。
3. 「緑のカーテン」を題材とした実生活への応用考察
実生活に関連した新しい題材として、植物を用いた日よけである「緑のカーテン」が登場しました。
• 蒸散による冷却効果: 葉の気孔から水が蒸発する際の蒸散によって周囲の熱が奪われ、カーテンの外側よりも内側の気温が低くなる仕組みが詳しく問われました。
• 光合成との統合的理解: 蒸散によって根から吸い上げられた水が光合成に利用されることや、光が強く光合成がさかんになると蒸散も活発に行われるといった、植物の複数の生理作用の関連性が問われているのが特徴です。
4. 哺乳類と鳥類の共通点としての「肺呼吸」
脊椎動物の分類において、個別のグループの特徴を問うだけでなく、「哺乳類と鳥類に共通する特徴」肺で呼吸することを選択させるなど、グループを跨いだ共通性の理解が改めて強調されています。
これらの出題は、単なる用語の暗記に留まらず、「生命現象の本体(DNA)」「細胞レベルの名称(孔辺細胞)」、そして「科学的な仕組みの実生活への応用(緑のカーテン)」をより深く理解しているかを問う傾向を強めています。