埼玉県公立高校入試の志願者倍率分析です。1.0倍超の動向を見ていきます。
1. はじめに
埼玉県公立高校入試において志願倍率が1.0倍を超えている、すなわち定員以上の志願者が集まっている「競争状態」にある学校・学科を可視化し、受験生とその保護者の皆様が現在の立ち位置を正確に把握するための指針を提供することを目的としています。
令和8年2月10日現在の倍率に基づき、志願倍率が1.01倍以上の学校・学科のみを抽出して構成しています。倍率の数値は単なる合格の可能性を示すだけでなく、その学校に集まる志願者の「熱量」や「層の厚さ」を反映する重要な指標です。
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2. 全日制 普通科:志願動向分析
全日制普通科は、県内入試において最も多くの受験生が動向を注視する区分です。以下の表は、1.0倍を超えている普通科の志願倍率を五十音順(あいうえお順)に整理したものです。
学校名
志願倍率
学校名
志願倍率
上尾
1.34倍
越ケ谷
1.29倍
上尾南
1.07倍
越谷北
1.18倍
朝霞西
1.20倍
越谷東
1.07倍
伊奈学園総合
1.10倍
越谷南
1.34倍
入間向陽
1.02倍
坂戸
1.15倍
岩槻
1.11倍
市立浦和
1.96倍
浦和(男)
1.34倍
市立浦和南
1.43倍
浦和北
1.04倍
市立大宮北
1.23倍
浦和第一女子(女)
1.25倍
市立川越
1.29倍
浦和西
1.49倍
志木
1.06倍
大宮
1.75倍
杉戸
1.23倍
大宮光陵
1.01倍
草加東
1.02倍
大宮南
1.11倍
草加南
1.01倍
大宮武蔵野
1.04倍
所沢
1.41倍
春日部(男)
1.31倍
所沢北
1.30倍
春日部女子(女)
1.02倍
所沢中央
1.04倍
春日部東
1.04倍
所沢西
1.09倍
川口
1.11倍
豊岡
1.08倍
川口市立
1.61倍
南稜
1.18倍
川口市立(スポーツ科学)
1.68倍
新座柳瀬
1.17倍
川口北
1.03倍
鳩ケ谷
1.01倍
川口東
1.17倍
深谷第一
1.01倍
川越(男)
1.41倍
富士見
1.04倍
川越女子(女)
1.26倍
不動岡
1.35倍
川越西
1.10倍
本庄
1.08倍
川越南
1.21倍
三郷北
1.09倍
熊谷(男)
1.17倍
与野
1.04倍
熊谷女子(女)
1.12倍
和光国際
1.31倍
熊谷西
1.17倍
鷲宮
1.08倍
1.17倍
普通科において特に警戒すべきは、市立浦和(1.96倍)大宮(1.75倍)、**川口市立(1.61倍)の3校です。これらは「人気校」の枠を超え、学力上位層が過密状態で競い合う「超激戦区」となっています。また、今回追加で確認された川口東(1.17倍)坂戸(1.15倍)**も、安定した志願者を集めており、中堅校における競争の底堅さが伺えます。
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3. 全日制 専門学科:分野別志願状況
専門学科は、特定の学問領域に対して高い目的意識を持つ層が集まるため、志願倍率が二極化する傾向にあります。
理数に関する学科
理数科は全体として「才能の集中」が顕著であり、普通科を大きく上回る高倍率を記録しています。
• 大宮(理数):2.48倍(県内全学科を通じた最高値。約2.5人に1人しか合格できない計算となります)
• 所沢北(理数):1.80倍
• 川口市立(理数):1.63倍
• 越谷北(理数):1.60倍
• 市立大宮北(理数):1.18倍
• 松山(理数・男):1.05倍
農業・工業・商業に関する学科
実学系学科では、特定の学科に人気が集中する「ピンポイントの高倍率」が見受けられます。
• 農業系:熊谷農業(食品科学)が1.23倍。また、杉戸農業も園芸(1.05倍)、生活技術(1.18倍)と、各コースで定員を超過しています。
• 工業系:新座総合技術(デザイン)が1.23倍と高く、次いで川口工業(情報通信:1.15倍、電気:1.14倍)、熊谷工業(情報技術:1.13倍)などが続きます。
• 商業系市立川越(国際経済)が1.66倍という突出した数値を記録。上尾(商業:1.28倍)や市立川越(情報処理:1.20倍)も高い水準にあります。
その他専門学科(外国語、芸術、体育など)
ここでは、特定の強みを持つ学校への志願集中が見られます。
• 外国語・国際系(地域競争の激化) 近接する外国語学科を持つ学校同士で、高水準の競合が発生しています。
    ◦ 南稜(外国語):1.43倍
    ◦ 越谷南(外国語):1.38倍
    ◦ 蕨(外国語):1.25倍
    ◦ 岩槻(国際教養):1.23倍
    ◦ 和光国際(国際):1.20倍
    ◦ 春日部女子(外国語):1.10倍
• 芸術・体育・その他
    ◦ 芸術総合(美術):1.68倍(専門性が高い中での極めて高い数値)
    ◦ 新座総合技術(食物調理):1.48倍
    ◦ 大宮光陵(美術):1.28倍
    ◦ 大宮東(体育):1.25倍
    ◦ 常盤(看護):1.10倍
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4. 全日制・定時制 総合学科:志願状況
多様なキャリアプランを選択できる総合学科においても、一定の競争が発生しています。
• 全日制 総合学科
    ◦ 川越総合:1.18倍
    ◦ 吉川美南:1.01倍
• 定時制 総合学科
    ◦ 戸田翔陽(II部):1.40倍
特筆すべきは戸田翔陽(II部)です。定時制という区分でありながら、1.40倍という倍率は全日制の多くの人気校に匹敵する数値です。志願者の層が厚くなっているため、十分な対策が必要です。
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5. 【最重点】超高倍率校(1.5倍以上)の特定と分析
全学科を通じ、志願倍率が1.5倍を超えている「超高競争校」を抽出しました。これらの学校・学科は、当日の試験におけるわずかな失点が致命傷となりかねない極限の環境です。
学校名(学科)
志願倍率
分類
大宮(理数)
2.48倍
理数系
市立浦和(普通)
1.96倍
普通科
所沢北(理数)
1.80倍
理数系
大宮(普通)
1.75倍
普通科
芸術総合(美術)
1.68倍
専門学科
川口市立(スポーツ科学)
1.68倍
普通科コース
市立川越(国際経済)
1.66倍
専門学科
川口市立(理数)
1.63倍
理数系
川口市立(普通)
1.61倍
普通科
越谷北(理数)
1.60倍
理数系
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6. 受験生・保護者へのアドバイス
倍率の数字にはその背後にある「合格のハードル」の高さが如実に表れています。
1. 「1.01倍〜1.10倍」の捉え方 定員をわずかに超えている状態ですが、これは「不合格者が確実に出る」ことを意味します。この層では、基本問題でのケアレスミスをゼロにすることが合格への最短距離となります。
2. 「1.5倍超」の戦い方 大宮(理数)の2.48倍を筆頭に、これら超高倍率校は「実力者が実力者を落とす」場です。特に理数科に見られるような2倍超の数値は、もはや「模試の判定がAであっても安全とは言えない」異常値です。過去問の徹底的な研究と、高得点域での安定した得点力が求められます。
倍率という数字にのみ惑わされる必要はありませんが、自身の志望校がどのような競争環境にあるのかを直視することは、受験戦略を立てる上で不可欠です。本レポートの数値を参考に、悔いのない最終判断と対策を進めてください。