■ はじめに

「うちの子、やる気がなくて困るんです。」

多くの保護者が一度は感じたことがある悩みではないでしょうか。
しかし実は、“やる気がない子”はいません。
あるのは、“やる気を奪われた子”です。

そして、そのやる気をそっと奪ってしまう原因のひとつが、**「過干渉」**です。


過干渉とは?

過干渉とは、子どもの行動や選択に、親が必要以上に口や手を出すことです。

たとえば、次のような行動が当てはまります。

  • 「早く宿題しなさい」と繰り返す

  • 「こうした方がいい」と正解を教えてしまう

  • 失敗しそうだと先回りして手を出してしまう

親の気持ちは「助けてあげたい」「ちゃんとやってほしい」という愛情から。
しかし、その“先回りの優しさ”が、子どもの自立や意欲を奪うことがあるのです。


過干渉が子どものやる気を奪う理由

やる気には大きく2種類あります。

  1. 外発的動機づけ … 他人に言われてやる

  2. 内発的動機づけ … 自分の意思でやる

過干渉が強いと、子どもは「自分で決めた」という感覚を失い、
やる気の源である“内発的動機”が弱まります。

親の関わり方 子どもの感じ方 結果
「早くやりなさい」 やらされている やる気が下がる
「こうした方がいい」 自分の意見が尊重されない 自信を失う
「手伝うから大丈夫」 自分でやる機会がない 自立が遅れる

つまり、「やらされている」と感じるほど、子どもの脳は“やる気スイッチ”を切ってしまうのです。


やる気を引き出す親の関わり方

① 命令より質問で導く

✗「早く宿題しなさい」
〇「今日はどの教科からやる予定?」

命令ではなく質問にすることで、
子どもは“自分で考えるモード”に切り替わります。


② 結果よりも過程をほめる

✗「100点すごいね」
〇「毎日少しずつ頑張ったね」

結果よりも努力や工夫を認めると、
「また頑張ろう」という内側からのやる気が生まれます。


③ 失敗を恐れず見守る

失敗は「成長の材料」。
「うまくいかなかったね。でも挑戦したのは立派だよ」
そんな一言で、子どもは安心して再び挑戦できるようになります。


親子関係の理想的な距離感

親の愛情が「コントロール」に変わると、子どものやる気はしぼみます。
逆に、信頼して任せる姿勢があると、やる気は自然と湧いてきます。

理想は、

  • 「干渉」でもなく

  • 「放任」でもなく
    👉 “見守りと信頼”の関係です。


まとめ

子どものやる気は、教え込むものではなく、引き出すもの。
見守りと信頼が、いちばんの応援です。