
塾生、保護者の皆さま、準備はよろしいですか? 令和9年度(2027年度)入試から、埼玉県の公立高校入試はこれまでの常識が通用しない「歴史的転換点」を迎えます。
2026年6月13日に行われた教育ジャーナリスト・梅野裕之氏の講演で明かされたのは、単なる制度変更に留まらない、評価の本質的なシフトです。クマガイ塾としても入試制度を熟知するよう努めると同時に、今回の改革の裏側にある「真実」と、勝つための戦略を見ていきます。
調査書(内申書)の「数値化」と公立・私立の二極化
令和9年度入試より、調査書の様式が劇的に簡略化されます。
- 公立高校用調査書:出欠日数、部活動の実績、資格取得(英検等)の記載欄が完全に廃止。中学校教員が記載するのは、原則として「9教科の評定(数値)」のみとなります。
- 私立高校用調査書:従来通り部活動や生徒会活動、ボランティア、資格などの実績が残ります。
この背景には、全国的な「部活動の地域移行」があります。活動が校外へ移ることで、学校側が実績を正確に把握・評価できなくなったことが要因です。結果として、公立入試の評価軸は極めて純粋な「学力(評定)」へと一本化されます。例えば、春日部女子高校(外国語科)のように英語の点数を2倍換算する「傾斜配点」を導入する動きもあり、「特定の教科が強い」生徒がより有利になる実力主義の側面が強まります。
全員必須の「面接」と、合否を分ける「自己評価資料」
これまで一部の学校のみだった面接が、令和9年度からは「全公立高校・全受験生」に課せられます。ここで鍵を握るのが、新設される「自己評価資料」です。
これは調査書に書けなくなった「自らの強み」をアピールするための事前提出資料です。面接官はこの資料を元に質問を投げかけます。
【配点と重要性】 多くの学校では面接の配点比率は5%未満と低く設定されています。
- 春日部高校:約3.6%
- 杉戸高校:約3.6%
- 藤岡高校:約3.8%
「たった5%か」と侮るのは禁物です。埼玉県の入試には、配点比率を変えて二度判定を行う「第一次選抜・第二次選抜」という仕組みがあります。学力検査と調査書が横並びになるボーダーライン上では、この数パーセントの面接点が、合格の扉を開く決定打となります。
梅野氏が直伝する面接対策の3本柱
- 中学時代に頑張ったこと
- 高校入学後にやりたいこと
- 自分自身の「自己表現」(具体的な強みや実績)
この3点を、自己評価資料とリンクさせて言語化しておくことが必須です。
「マークシート方式」導入で、1点のミスが致命傷に
ついに埼玉県も全問手書きから「マークシート方式」へと移行します。これに伴い、伝統の「記述重視」の傾向に変化が生じます。
- 記述問題が約1割へ減少:手書き回答が減り、スピードと正確性が求められます。
- 「部分点」の消失:記述式は内容で加点が狙えますが、マークシートは正解か不正解かの「0か100か」です。
【戦略的アドバイス】 マークシートの導入により、ケアレスミスは「わずかな減点」ではなく「致命的な失点」へと変わります。1問のミスで数十人のライバルに追い抜かれる、よりシビアな精度競争になることを覚悟してください。一方で、残された記述問題については、引き続き内容に応じた部分点の付与が期待できるため、ここで確実に加点を稼ぐ「記述力」も依然として武器になります。
今すぐ着手すべき「賢い情報収集」と攻略アクション
新制度で勝つためには、情報の「鮮度」と「深度」が命です。
- 「選抜基準」の直接ダウンロード 埼玉県教育委員会のHPから、志望校の「選抜基準(配点比率)」を必ず確認してください。学力、調査書、面接のウェイトを把握せずに対策を立てるのは無謀です。
- 「高校受験ナビ」の徹底活用 さいたま新聞社が運営する「高校受験ナビ」など、地元に特化した一次ソースに近いメディアをチェックしましょう。
- 過去問の「癖」を見抜く(社会科の例) 形式は変わっても、出題の「癖」はすぐには変わりません。例えば社会科の大問1・問1では、海洋名と大陸名が交互に出る傾向があります。次年度は「ユーラシア大陸」が出る可能性が高いと予測されます。こうした細かな傾向分析が、1点を積み増す力になります。
【受験準備チェックリスト】
- [ ] 志望校の「選抜基準」を確認し、配点比率をノートに書き出す。
- [ ] 「自己表現資料」の原案として、中学での実績と高校での抱負を3つ書き出す。
- [ ] 早期に過去問を解き、社会などの「毎年出るパターン」を把握する。
- [ ] 公立・私立両方の説明会、文化祭に足を運び、学校の雰囲気を肌で感じる。
制度が変わっても、変わらない本質
令和9年度の改革は、一見するとシステムの効率化に見えます。しかし、調査書がシンプルになり、面接が必須化されるということは、書類上の「過去の数字」以上に、あなたの「現在の言葉」と「未来への意欲」が問われているということです。
制度がシンプルに削ぎ落とされる今、誤魔化しは効きません。
あなたは、その白紙の「自己表現資料」に何を書き、自らをどう証明しますか?
確かな情報に基づき、着実な準備を進めた者だけが、激変する入試の先にある「合格」を掴み取ることができます。